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2020/04/03 16:22
小学生の頃、学校の授業で新聞のようなものを作ったことがある。
男女混合の班で、皆やる気がなくて進まず、しかたなく私ひとりで図書館で調べたりして、一枚の大きな紙に本の内容を書き写して仕上げた気がする。調べた内容はすっかり記憶から抜け落ちてるので、おそらく全然興味ないことだったのだと思うけど、図書館で調べて書き写したり、コピーした写真を貼り付ける作業は楽しかった。
発表会は散々だったけど。
これもまた小学生の時、母と交換日記というか、文通のようなことをしていたことがある。
大掃除で出てきたたくさんのノートの白紙部分を切りとって、その日学校であった出来事や思ったことを書き、学習机の上に置いておくと、母の返事が書いて置いてある。はじめは短い文章だったのがだんだん長くなり、絵を描いたり見出しみたいなものをつけるようになった。これはとても楽しくてかなり長く続いたし、子ども時代のものをほぼ処分した今でも箱に入れて保管している。読み返すと、子どもならではのテンションの高い文章にいたたまれない気持ちになりつつ、今ではまったく覚えていない出来事や考えに新鮮な気持ちになる。
これらが私の「ZINE体験」だったのだと思う。
前者は「やらされてる感」があって実作業以外は楽しくなかったけど、後者はただただ楽しかった。
ZINEとは「個人または少人数の有志が非営利で発行する、自主的な出版物」のこと。
大きな資本力もコネも持たない個人が、誰にも頼まれていないけれど作らずにはいられなくて作る「小さなメディア」。
ZINEという言葉を知らない人も多いだろうし、なんとなくアートとかデザインに関連したオシャレっぽいもののような気がしてる人も多いと思う。でもこの本を読むと、ZINEとはもっともっと敷居が低くて、紙とペンと表現したいこと、伝えたいことがあれば誰にでも作ることのできるものなのだとわかる。
自分がぼんやりと考えたり思っていることを言葉やなにかに抽出する作業というのは、今の自分を改めて見つめることになる。なかなか集中力のいる作業だけど、自分の輪郭がクリアになって、ちょっと自分に自信が持てたり気持ちが落ち着いたりします。(今も)
インターネットがあるのだからわざわざ印刷したりせず、ブログやSNSとかでもいいんじゃない?という意見もあるだろうけど、「形がある」というのはとても大事だと思う。インターネットは良くも悪くも情報のスピードが早く、思わぬところに拡散されていくもので、一度ネットという海にアップしてしまえばもう自分の力ではコントロールが難しい。
ZINEは届く範囲がとても限られる。だからこそ自分の好きに作ることができる。ZINEというのは、「誰かのため」というよりも「自分のため」に作るものかもしれない。日記や文通に近しいけれど、それよりももう少し世界を広げてくれるもの。
今、世界は想像もしていなかった変化をしています。
流れてくる情報を追っていると目も心も疲れてしまう。
このようなとき、手を動かしたり想いを綴ったりするのはとても大事なことのように思う。
「ZINE」という「表現」との出会いはきっと心の栄養となってくれるはずです。
staffイイヅカ