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2020/05/25 19:56
今年86歳になられる小野和子さんは、1969年から50年に渡り東北を歩き回って民話を聞き集めてきた「民話採訪者」。
採訪の旅日記を軸に、聞かせてもらった民話、手紙、文献などさまざまな性質のテキストを、旅で得た実感とともに編んだ全18話と、小野さんの姿勢に共鳴してきた若手表現者—濱口竜介、瀬尾夏美、志賀理江子による寄稿がおさめられています。
小野さんは東北の村々を歩き回りながら、「幼い頃に聞いて憶えている昔話があったら、聞かせてくださいませんか」とたずね歩きます。
人の記憶は曖昧だから、伝え語られる話ははじめに聞いたものとはきっと変わってきている。
その曖昧でどんどん変わっていく語りこそが、人の生きてきた時間を表すようで面白いのだ。
テレビやインターネットの編集された言葉ではなく、生きた言葉、生きた話を交わすことが、今の私たちには必要だ。